国内 国際 シンポジウム 参加レポート

「日本バイオマテリアル学会」に参加―初雪と紅葉 2013.12.15

t.o.h.理事 平沼克己


 11月27日の仙台は今年一番の寒さでした。積もるほどではなかったのですが、うす曇りの空から小さな雪が舞い降りてきました。会場周辺は川が流れ、木々が紅葉して、“初雪と紅葉”を同時に見ることができました。カメラを取り出しましたが、残念ながら綺麗に写るほどの技量もなく、あきらめましたが、私たちも初のバイオマテリアル学会発表でもありますので、なんとなく縁起が良い?気がしました。前向きに行きましょう?!

 さて今回、仙台で行われた日本バイオマテリアル学会に木下理事とともに参加してきました。私たちは東京医科歯科大学医用器材研究所(現在生体材料工学研究所)にて中林宣男先生の下、歯を守るためにどのようしたらよいか、いろいろと教えて頂きました。これらの教えから少しでも世の中に役立てたいという思いで、安田理事長、木下理事とともに、東京大学の石原研究室と共同で研究した経過を皆様に報告するためです。

 今回の内容は、新たなう蝕予防が出来るかもしれないという、何とか世の中の人や、口腔内のケアが必要な方のためになりそうな研究です。よろしければ次回にでも詳細をご報告させて頂きます。

 東北の皆さん今回はありがとうございました。皆さん!がんばってください。
木下理事より学会に参加して一言,“初雪と紅葉”ならぬ“初行と高揚”でした。

発表者の井上先生,共同演者の石原,木下先生と私。ポスターの前で。
質問者に丁寧に説明する石原一彦教授

Tooth Wearに注目!ランチョンセミナーを行ってきました

t.o.h.理事 歯科衛生士 深川 優子
去る11月23日~24日、2日間の日程で、福岡(都久志会館)で第2回歯科衛生士学術大会が開催されました。
 今回、深川は、当会のスポンサーであるグラクソ・スミスクライン社の依頼により、ランチョンセミナーに招聘されました。テーマは「欧米で注目されている第3の疾患"Tooth Wear"とは?」です。"Tooth Wear"とは、我が国では馴染みのない言葉ですが、欧米では10年前より研究が盛んに行われています。
 う蝕は減少し、歯周病も適切なセルフケアとプロフェッショナルケアの両立で、予防管理が可能になりました。そこで、新たに注目されることとなった第3の疾患が、"Tooth Wear"です。これは、う蝕原因菌によらない歯質表層の実質欠損であり、「酸蝕」「摩耗」「咬耗」が属します。中でも「酸蝕」は、炭酸飲料、果実発酵食品などに含まれる酸により、歯質が減ってしまうという、食生活に密着した疾病といえます。このような疾病が増加した背景に、食生活の欧米化、長寿化、残存歯の増加などが挙げられます。つまり予防管理により残存歯が増加し、長生きすることにより、歯を生活に使用するという点で、様々な影響を受けることになるのです。

そして「酸蝕」は、知覚過敏の発症要因でもあります。今秋、知覚過敏専用歯磨剤(シュミテクト)を販売しているグラクソ・スミスクライン社から、新しい酸蝕予防の歯磨剤「PROエナメル」が発売されました。臨床経験の豊富な歯科衛生士であるなら、"Tooth Wear"の兆候を見つけることは可能です。しかし、"Tooth Wear"の概念を知る者は少ないため、ランチョンセミナーでは大変注目され、学会関係者よりお褒めの言葉を頂戴した程です。また他2社よりも早くチケットが無くなり、立ち見も出るほどの盛況ぶりでした。
 2008年は、業界誌「歯科衛生士」に"Tooth Wear"に関しての連載が開始することから、一大ブームになりそうな予感がします。

「‘06年歯科衛生士国際シンポジウム」に出席しました

t.o.h.理事 歯科衛生士 深川 優子
 去る10月13~15日、3日間の日程で、パシフィコ横浜(神奈川)において「第5回日本国際歯科大会('06QDTシンポジウム、'06歯科衛生士シンポジウム、第5回ワールドデンタルショー2006併催、クインテッセンス出版株式会社主催)」が行われました。この大会は4年に1度行われるもので、世界歯科界の最新潮流をとらえることを特長とし、今回はとくに33名の海外演者と200名以上の国内演者を招聘。あらゆるジャンルの権威がつぎつぎに登壇する盛会となりました。登録入場者数は約6,800名におよびました。また、併催のワールドデンタルショーは、歯科医師14,262名、歯科技工士6,597名、歯科衛生士9,752名、学生1,989名、同伴1,826名、業界関係者7,115名、合計417、541名の参加で大変な賑わいを見せていました。
 今回、深川は、15日の10時から「患者の訴えに「知覚過敏」にどう対応するのか」という演題を頂き1時間に渡って講演しました。会場定員の200名をはるかに超え、立ち見、床にしゃがみ込んで聴講される方も居ました。会場外に設けられたモニターには、入場できなかった人々が溢れており、深川だけでなく全演者に関しても同様の盛況ぶりだったようです。また、深川は、この大会開催に併せて「チームで取り組む象牙質知覚過敏症、しみる・痛いにどう対応?」という書籍を当会の安田 登理事長と共著で発刊しました。講演後,演者の著書販売のコーナーにおいて、売れ行きの好調さを確認でき嬉しかったです。
 そして、同日の午後から2度,ワールドデンタルショーの会場において、城楠商会ブース内セミナーを実施しました。内容は「患者信頼に繋がる予防器材の選定」です。ここでも通りすがりの人々が足を止めて聞き入ってくださりました。深川にとっても歯科衛生士人生の記念に残る大会出席となりました。

「第38回日本歯科衛生士学術大会」に出席しました 2005.9.24~25

t.o.h.理事 歯科衛生士 深川 優子
 2日間の日程で、北海道大学の交流会館(札幌)において「第38回日本歯科衛生士学術大会」が開催されました。

 第1日目の講演は、愛知学院大学歯学部(日本歯周病学会理事長)の野口俊英教授による「歯周病と全身疾患との関係-口腔の健康と全身の健康を目指して-」と題する講演でした。興味深かった事柄は、歯周病がリスク因子となる全身疾患と、歯周病のリスク因子となる全身疾患とに分類されて説明されたことでした。これらの基調になる考えは、1996年、アメリカにおいて「Periodontal medicine」と定義づけられた「歯周組織の健康/歯周病と全身の健康/全身疾患との相互関係を確立するために、多くの新しい有用な情報を蓄積することを目指した歯周病学会の新しい分野」からきています。他は会員による17題の口演発表がありました。

 第2日目は、「これからの歯科衛生士業務への提言」と題して、歯科医療研修振興財団理事の宮武光吉先生が座長を務めるパネルディスカッションがありました。パネルディスカッションに先駆けた講演では、「歯科診療所における予防業務の実施状況と課題」と題して、日本大学歯学部医療人間科学教室の尾崎哲則教授が全国の歯科診療所における予防業務がどれくらい実施されているかを調査されました。興味深い報告にPMTCやフッ化物塗布を実施している歯科診療所の数は僅か(継続的なPMTCは実施されていない。フッ化物塗布は50%以下の実施であるなど)とのことでした。
引き続いて、当ホームページ(あなたの街の歯医者さん)でも医院名が記載されている三上直一郎先生(東村山市開業)の「歯科診療所におけるセルフケアとプロフェッショナルケアのバランス」と題した講演がありました。ここでの歯科医師の役目は主に対症療法の治療を、原因除去療法の予防や指導は歯科衛生士の役割とし、患者さんのセルフケア確立支援とプロフェッショナルケアによる口腔内健康維持が歯科衛生士の重要な責務であると述べられていました。他には会員による37題のポスター発表がありました。

 今回、深川は職域(第一生命歯科診療所)に勤務する歯科衛生士として、
「職域における歯科保健サービスの取り組み-職員のニーズに基づくRoutine checkup-」と題するポスター発表をしました。当社は2年前より英国保健省NICEのガイドラインを基に、セルフケア能力の向上支援を目指した持続性のある健診システムを構築し、実施しています(Routine checkupといいます)。
今後の歯科医療の発展は、職種別による縦割りの活動ではなく、職域、市中の歯科医院、大学病院、行政など横の繋がり(ネットワーク活動)が重要であると思われました。

 東京でもブームとなっている札幌発信のスープカレーです。(北海道大学近くのお店「心」より)辛さのレベルが100まであるのが特徴です。

「第2回国際接着歯学会」に出席して

会長 中林宣男

私は今回の国際接着歯学会のあまりの中林無視に腹を立てているし、プログラム委員の世界の情勢を無視したプログラム構成に腹立たしさを感じた。これならば、IADRに出席したまま帰国せずにアメリカでTOH活動を続けるべきであったと反省している。こんな学会にわざわざ帰ってきて余命短い中林の受けた損害は大きいのです。外国からの招待講演者も一部の流派の人で固められていたといわざるをえない。外国から日本の進歩した接着歯学を学びたいと思って参加した人たちの評価は如何であったか。第1回は皆さん満足してくださったと聞くし、これが第2回にも参加したいという原動力であったのであろう。一部の人たちは、何故中林は樹脂含浸象牙質の講演をしないのと質問してきた。アメリカで講演すると外国からの留学生が中林の話は面白かったと講演後寄ってきて、写真を取らせてといってくれる。日本でも若い人たちに写真を一緒にといわれた。

 クラレをはじめ接着性コンポジットとセメントを製造販売している各社とも何故樹脂含浸層なのか、彼らが製造している商品は化学反応で接着していると1社を除いて説明してくれた。誰がどんな研究を通して樹脂含浸象牙質(人工エナメル質)を作れば歯質に修復物を接着できる結論に到達したか全く勉強してくれていない(中林の知的財産無視で、損害賠償の訴えを起こしたいくらいです)。
過去の人々の努力の積み重ねで歴史は作られることを忘れては、文化は進歩しない。それで臨床成績が良いのは化学結合のせいだとされては、化学結合を否定して教室を首になりそうになりながら育て上げた中林の科学はどうなるのでしょう。殺して、成果だけ奪うなんてひどすぎます。これが日本の(世界の)歯科医学のレベルなのでしょうか。皆さん樹脂含浸層で接着しているのに、酸性モノマーがヒドロキシアパタイトと化学結合したと結論して下さっている。化学反応はモノマーが拡散した後でないと起こらないことを忘れてもらっては困る。中林はきちんと論文に報告すると共に、昭和54年ごろ総説に書き残している。

 樹脂含浸層の中を水が動くという研究結果は、中林の定義している樹脂含浸層ではない。中林は乳酸非透過性の層を樹脂含浸層と理解している。だからこそ酸に弱い切削象牙質の保護が始めて可能になったのである。一時代前の言葉ではマイクロリーケージが起こらないし、修復物の脱落も起こらない歯科治療が受けられるし、歯科治療を受けた後、しみることもないのである。これらは酸不透過性を保証した樹脂含浸層によって可能であり、口腔内で消えるような樹脂含浸層ではこのようなすばらしい治療は成り立たないのである。これでは、リン酸亜鉛セメントで歯科治療をしていた時代へ逆戻りしているといわざるをえない。

「第83回IADR」見聞記

中林宣男
83回IADRの学術講演会と展示会が3月9-日-12日の間ボルティモア(米国・メリーランド州)で開かれた。毎年世界中から歯科関連の研究者が一堂に会して成果と友情を交換し合うお祭りの様な大集会である。日本人として特筆すべきことは東京医科歯科大学の黒田敬之名誉教授がIADR会長に選出されたことであろう。これは先生の研究成果と人格者としての人気のおかげである。

 日本では2001年の6月に幕張メッセ(千葉県)で開かれた。これに参加すると、どんな研究が現在世界的に興味をもたれている研究か、自分たちの研究の位置づけ等を肌で感じとれるし、有名な教授たちや研究者の顔を直に知ることもできるし、知り合いになるチャンスでもある。自分の主義主張を世界で認めてもらうにはIADRに出席し、報告を続けることが大切である。特に自分の報告に聴衆の集まり具合で、興味を持ってもらえているかを自ら評価もできる。人気の映画や演劇にお客さんが集まるかと同じである。外国の人は自分の興味のない講演は聴こうとしないし、ポスターでも通り過ぎていってしまう。市場と同じで、人だかりのしている場所は人気のあるところである。中林はBisGMAとコンポジットレジンの開発者で有名なボーエン博士(上の写真,右から二人目)の強い勧めで、70年代後半から出席する努力を進めてきた。

 中林は「マイクロリーケージと2次齲蝕に罹患しない修復法という」昼食を楽しみながらの勉強会なる企画に話題を提供した。鈴木司郎先生(米国アラバマ州立大学)と入江正郎先生(岡山大学大学院)も話題提供されていた。皆さん参加者にそれぞれ満足を与えていたように思う。中林には参加者全員から感謝の言葉が述べられた。


歯科医学にとって、人類の歯と口の健康を守るうえで、エナメル質に穴を開けないこと(象牙質を露出させない:これは酸に弱い象牙質を口腔内常在微生物が作り出す乳酸により脱灰させてはいけない)が大切である。不幸にして象牙質が露出した歯を、それ以上口腔内で脱灰されないようにする科学が求められている(残念ながら今の歯科治療では、年をとると入れ歯の世話にならざるを得ない)。何故、歯を治療し、されると歯は痛みを訴えるか。これは刺激が直接歯髄を刺激するためであり、修復物の脱落防止によっては解決できないのである。これまでの歯科医学に欠けていた「歯を削ったらそこにエナメル質の機能の一つである“歯を守る”機能を歯科医師は与える」でなくては、歯は死んでいく運命を負ってしまう。歯科医師を初め一般の人たちもエナメル質の重要性を理解して欲しいのである。

 樹脂含浸層の評価に疑問があるという研究の流れの中で、接着歯学が目指した修復物の脱落を解消する「象牙質に接着する材料開発」という目標をさらに進め、乳酸不透過性を確認した樹脂含浸層(これは中林が定義してきた歯を守る安定な樹脂含浸層である)は露出象牙質を口腔内で乳酸の攻撃から守る上で必須であり、これの理解を広めることは、私たちの健康21「歯と口の健康を守ろう会」の趣旨に沿った活動でもあることを、歯科関係者を始め世界中の人々が理解してくださると、会長としてうれしく思う。

「第16回歯科衛生士国際シンポジウム」に参加して 2004.7.8~11

深川 優子
 4日間の日程で、スペインはマドリッドにおいて、 「16th International Symposium on Dental Hygiene」が開催されました。

 主催国スペインをはじめとして32ヶ国が参加し、出席者数は700名を超えました。日本からは約20名が参加しましたが、このうちポスター発表の演者として、深川をはじめ3人がエントリーしました.

 初日のオープニング・セレモニーでは、各国の代表者が国旗を掲げながら登場しましたが、特にチマチョゴリをまとった韓国人や着物姿の日本人が注目を浴びました。また、その後に演奏されたスペイン・ギターの音色もオープニングを飾るに相応しいものでした。

 今回のシンポジウムは、講演の他,ポスター発表(35題)と口演発表(31題)が連日多岐に渡り行われました。開催時間は、朝は9時から始まり、シエスタ(長いお昼休み)の習慣があるスペインだけあって、14時から2時間のお昼休みを挟み、終了は19時でした。最終日には、口演とポスターの優秀作品が発表されましたが、スウェーデンの歯科衛生士さんがその栄に浴しました。

 今回、私は、国際シンポジウムに参加することも、海外で発表することも初めての体験でしたが、当会の趣旨でもあり、私たちが推奨している歯科治療に関係した「接着性レジンが二次(再発性)う蝕を予防する: Prevention of Secondary Caries By Self-etching Bonding System (Hybrid Bond) 」を発表しました。2日間に渡り、お昼休みの1時間、自分のポスターの前に待機し、質問に答えたり、ディスカッションをしたりしました。

 世界の歯科衛生士事情を垣間見た感想として、歯科衛生士の喫煙率が高かったことが印象的でした。食事中やコーヒーブレイク中はおろか、禁煙でない場所なら灰皿が無くても喫煙している有り様でした。さらに驚いたことには、歯周病に関してのポスターセッションをしているイタリアの歯科衛生士が、その場所で喫煙していることでした。スペイン人をはじめヨーロッパ人の喫煙率は高いようです。今回、主催国のスペイン人歯科医師が歯周病に関して多く講演されていましたが、どうにも真実味が無いように思えました。テクニック的なことは分かりませんが、知識的には、日本の歯科衛生士は、多くを知っている。決して世界に引けを取らないと言うのが、今回、シンポジウムに参加しての実感でした。

当会では、歯科医師や歯科衛生士に向けた講演・セミナーをはじめ、一般の方に向けても、歯や口の健康を守るための各種セミナーを行いました。